相手の気持ちを考えて行動しましょう、という言葉をよく聞きます。
これは世間一般でよく言われている言葉だと思います。
そして自分が子供の頃には学校で先生にも言われたし、私が小学校の先生をしていた時もよく聞いた話です。
特に自分が子供の頃、クラスのやんちゃな男の子が他の子にちょっかいをかけて、先生がその子を叱る時に言っていた印象が強いです。
その子が誰かを叩いて、先生が「やめなさい。どうして友達を叩くの、あなただって叩かれたら嫌でしょう?人の気持ちを考えなさい。」と言うみたいな感じです。
それを聞いて、子供の頃の自分は素直にそうだなと思っていました。
「もし自分が叩かれたら嫌だから、きっとあの子も叩かれたくなかっただろう。自分がされて嫌なことは他の人にしないようにしよう。」
きっと真剣にそう考えていました。
でもそれからいろいろなことを経験して、大人になって今思うのは、
「いくら人の気持ちを考えて想像しても、その人の本当の気持ちは分からない」ということです。
自分がされて嫌なことや、自分がされて嬉しいことが、必ずしも他の人と同じとは限らない。
だから自分が想像した相手の気持ちが、本当に相手の気持ちだと思って行動することは、何だか危ういなと思うようになりました。
とは言えこんな話を小学生の頃の自分が聞いてもちゃんと理解できたかはわかりません。
それに自分が小学校の先生だった時に、私も同じようなことを言って児童を叱った事があるかもしれません。
もし言っていたとしても、児童たちとの日頃からの関わりで、一人ひとりの性格や個別ケースも考えて接していたつもりですが。
「人の気持ちを考えて」という言葉だけを受け取って行動してしまうとうまくいかないと思います。
もしこの言葉だけを受け取って、真面目に頑張ろうとしている子がいたら、その考え方も大事だけれど、それだけでは上手くいかないよと言いたいです。
相手の気持ちを想像することも必要だけど、相手が本当はどう思っているのかを知ることも大切だと思います。
でも実際それは結構難しいですが…そう思うだけでも変わると思います。