今でも覚えているあのドキドキ…
体育館の2階で、先生の足音を気にしながら、友達と一緒に漫画を読んでいた。
先生に見つかって怒られるのは怖い、でも漫画は読みたい。
「来た!」友達の声を合図に、みんな一斉に漫画を隠す。
中学生の頃、友達どうしで漫画の貸し借りをするのが流行っていました。
分厚いコミック本や単行本、少女漫画から少年漫画までいろいろなジャンルの漫画を貸し借りしていました。
特に私はジャンプにハマっていて、大体誰かに貸してもらう側でした。
ONE PIECE、HUNTER×HUNTER、NARUTO、ヒカルの碁、封神演義…
ジャンプを買ってもらえる友達のことが羨ましかったです。
そして貸し借りするのはたいてい学校です。
教科書が入っている大きなカバンに、さらに漫画を詰め込んで、パンパンに膨らんだ重たいカバン。
とにかく漫画が読みたかったので、その重たいカバンを持って一生懸命学校に行っていました。
でも学校に漫画を持って行くことは禁止されていました。
多分ほとんどの中学校で漫画を持っていくのは禁止だったと思います。
漫画を持って行ってもいい学校というのを、私は聞いたことがありません。
でも子供の頃、内緒で学校に漫画を持って行ったことがある人は多いのではないでしょうか。
きっとほとんどの人が経験があるはず、と私は思っているのですが、皆さんはどうですか?
なので先生が居ない時を見計らって、カバンから漫画を出してみんなで貸し借りしました。
それだけなら基本的には先生に、漫画を持って行っていることはバレません。
そうやって先生にバレずに漫画を楽しんでいればよかったのですが、私たちはそれでは終わりませんでした。
私は運動音痴なのですが、中学校では体を動かした方がいいと思って友達と一緒に卓球部に入りました。
部活の練習も頑張っていましたが、休憩時間にマンガを読むのにも一生懸命でした。
部活の練習場所は体育館の2階で、階段で登って行けるようになっていました。
窓際には通路があり、そこにみんなで荷物を置いてマンガを読んでいました。
先生が来るときは階段を上がってくるので、階段のほうを気にしながらもみんなでマンガを読みます。
そして誰かが先生の足音に気づいたら、みんな一斉にマンガを隠す、と言うのをずっとやっていました。
たまに先生に見つかりました。
でも先生がいなくなったらまたマンガを読んでいました。
私は自分のことを、先生の言うことをちゃんと聞く真面目な生徒だと思っていました。
それに私は小学生の頃から将来学校の先生になりたいと思っていたので、さらに先生の言うことをよく聞こうという思いがありました。
自分が先生になった時に、子供たちにちゃんと言うことを聞いてもらいたいので、笑
それなのに学校のルールを堂々と破って、夢中になって学校で漫画を読んでいました。
今思うと、私は自分が思っているほど真面目な生徒ではなかったのかもしれません。
実際のところ、先生たちは生徒が学校に漫画を持って行っていることに気づいていたのかもしれません。
ルールで禁止されていても、暗黙の了解というか、その場で感じる雰囲気があります。
先生によって厳しさが違うこともあります。
とにかくルールなんか忘れるくらい、マンガはとっても魅力的でした。
自分で漫画を描くのも好きでした。
好きなものに夢中になるのは特別な感覚です。