私は小学校の先生をしていた時に、先輩の先生方にいろいろな事を教わりました。
そしてある先生に「先生は話す時、言葉を間違えないようにしないといけない。もし間違えてしまうと児童が混乱してしまう。」と教えてもらいました。
確かに先生が間違って話すと児童も間違った事を覚えてしまうかもしれないし、話がおかしくて理解できなかったら困るだろうなと思いました。
そして私がその先輩の先生の授業にサポートで入っていた時、先生は児童たちに下校の話をしていました。
その中で「汽車で帰る」と言う話があって、私は驚きました。
この辺りに汽車が走っていると言う話を私は知らなかったからです。
私は実物の汽車が走っているところを見たことはないと思います。
私にとって汽車は昔走っていた乗り物という感覚でした。
それくらい珍しいものだと思っていたので、汽車が見られるなら見てみたい!と思いました。
でも一方でそんなに珍しいものが走っているなら、流石にもっと話題になっているのでは?とも思いました。
そして本当なのかな?という疑問と、汽車を見ることができるかも、という期待の気持ちも持ちながら、私は低学年の児童たちの下校に付き添いました。
そして児童たちと一緒に駅まで歩きました。
そしてその駅に到着したのは…
電車でした。
あんなに言葉に気をつけるようにと話していた先生が、汽車と言っていたのは電車のことでした。
結局よく見慣れたいつもの電車に乗って、児童たちは帰って行きました。
汽車で帰る話を聞いて、私は心の中であんなに驚いたのに。
私は身を持って言葉一つで混乱する体験をしました。
それから後に、気になって汽車という言葉についてネットで調べました。
「汽車」は蒸気機関車が牽引する列車で、「電車」は電気モーターで走る車両のことだそうです。
ただ地方によってはJR線を「汽車」、市電を「電車」と表現するケースもあるそうです。
確かにこの小学校の地域は田舎ですが、それでも今まで電車のことを汽車と呼んでいる人は見たことがありませんでした。
私は、先生は言葉を間違えずに話すことも大切だけど、正しく伝わっていないかもしれないという視点も大事だなと思いました。