「なんで来なかったの?」児童と先生の距離が変わる時。

小学校での児童と担任の先生の関係性は、特別なものだと思います。

家族でもないし、友達でもない、でも毎日のように一緒にいて、自分のことを知ってくれている。

決められたクラスで担任の先生と過ごす1年間は、自由がなく窮屈なようで、でも守られているような安心感もある。

小学校の先生だった頃、私は担任ではなくいろいろなクラスにサポートに入っていました。

そしてよくサポートに入る1年生のクラスがありました。

そのクラスはかなり印象的だったので、今でもよく覚えています。

とてもメンタルが強い児童たちでした。

一人ひとり個性はあるのですが、それでも全員と言って良いほどみんな気持ちが強いというか、メンタルが強いクラスという印象でした。

特にヤンチャな男の子たちは担任の先生に怒られても動じないし、なかなか言うことを聞きませんでした。

そんなクラスでも、やっぱり児童たちは担任の先生の言うことを一番よく聞きます。

特にはじめのうちは、私が何か言っても全然聞いてくれませんでした。

明らかに担任の先生にとる態度と私への態度が違います。

そして騒ぐようなタイプではないけれど、ひょうひょうしているような感じの女の子に、「なんで来るの?」と言われてしまいました。

その女の子にしてみればここは自分たちのクラスで、担任の先生もいるからアナタはいらない!と言いたかったのだと思います。

そんな感じでこのクラスに上手く入っていけないような壁を感じました。

このクラスで私がしていたことは、担任の先生が授業をして、私は教室の後ろから児童たちを見ていて、ついていけない子がいたら横に行ってサポートすることです。

文字の書き方や計算ができているか見たり、丸つけもしていました。

どうしたら分かってもらえるか、話を聞いてもらえるか、児童がやる気になるか、試行錯誤しながら毎日頑張っていました。

児童たちは個性豊かでした。

元気な男の子は、担任の先生を困らせてよく怒られていましたが、全く気にしていないようでした。

でも時々怒られた時に大泣きすることもあって、やっぱり怒られて気にしている部分もあるんだなと思っていましたが、泣き止んだらすぐにけろっとしていました。

他にも自分のこうだと思ったことは譲らない男の子もいました。

その子も悪いことをして担任の先生にとても怒られている時があって、私はそれをその子の斜め後ろから見ていました。

その子が両手で顔を隠したので、私は反省したのかな、それとも怒られて悲しくなってしまったのかな?と思いました。

そして担任の先生がその子の前を通り過ぎて、後ろの児童のところに行ってしまった瞬間、その子は顔から手を外して、ニヤッと笑ったのです。

私はそれを見てしまって怖くなりました。

反省したふりをしていただけで、本人は何も悪いと思っていなかったようです。

そのメンタルの強さを私にも分けて欲しいと思ったくらいです。

私はこのクラスの児童に「先生メンタル弱い」と言われていました。

私が児童たちのことを分かってきた分、児童たちも私のことをよく理解しているようでした。

私は他のクラスにもサポートに行っていましたが、このクラスに入ることが多く、いつの間にかこのクラスの副担任くらいの感じになっていたと思います。

そしてある日、いつも行っていた時間の授業に参加できなくて、別の時間の授業に参加しました。

すると、あのいつもひょうひょうとしている感じの女の子が、「なんで来なかったの?」と言ってきました。

その女の子は、私が授業に来るのが当たり前で、来なかったのはおかしいと思ったみたいでした。

はじめの頃、私はこの女の子に「なんで来るの?」と言われてしまっているので、びっくりしました。

いつの間にか私はこのクラスに受け入れられていたみたいです。

私は担任ではありませんでしたが、このクラスの一員のようになっていて、児童との関係も特別なものだったと思います。

このクラスに受け入れられていないと感じたはじめの頃から、毎日の積み重ねで児童たちとの関係性が少しずつ変わっていく経験をしました。

そして1年が経ち、私は別の学校に移動になりました。

もうここの児童たちの先生では無くなって、特別な関係が解かれたような、不思議な気持ちになりました。

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