ふと、児童を信じてみたくなった時。

人を信じたくなる気持ちはどこからくるのでしょうか。

小学校の先生をしていた頃、私は自分の中では珍しいと思う体験をしました。

とても元気な1年生の児童たちのクラスに、サポートでよく行っていた時のことです。

確か掃除の時間で、私は校舎の外に居る1人の児童を見つけました。

1年生の教室を出たすぐ側の窓のところで、その児童は何かを持っていました。

それが何だったかはもう忘れてしまいましたが、私はそれをちゃんともとに戻しなさいと、児童に言ったと思います。

でもその児童はなかなか言うことを聞きません。

普段からそんな感じで、私はこの児童が担任の先生に怒られているところもよく見てきました。

そして担任の先生が怒ってからその児童の側を離れた瞬間、その児童が顔を隠していた両手を外して、ニヤリと笑った瞬間も私は見てしまいました。

私は担任の先生に怒られても動じない児童を見て、なんてメンタルの強い子なんだと驚きました。

そんな児童なので私の言うこともなかなか聞きませんでしたが、しばらくして「ちゃんと戻しておくから」と児童が言いました。

でもこの子がそんなに簡単に言うことを聞くとは思えませんでした。

多分口だけなんだろうなと思いました。

でもその子の目を見て話しているうちに、ふと、信じてみようという気持ちになりました。

自然とそういう気持ちが湧いて来て、本当かどうか分からなくても、信じてみたいと思いました。

そして私は「分かった」と言ってその場を離れました。

児童がちゃんと戻したかどうかは、その後確認すれば分かったと思いますが、私はそれをしませんでした。

普段こんな感覚になることは滅多にないのですが、その時は何だか無条件で、その児童を信じてみたくなりました。

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