小学校の先生だった私が、学生時代に出会って来た先生方の中から、今回は高校の社会の先生の話しをしたいと思います。
その先生は歴史が詳しい先生で、その時代の出来事を細かく話される方でした。
ただ私は社会の勉強が好きではありませんでした。
社会の授業にもいろんなジャンルがありますが、私は全てと言っていいほどどれも興味がありませんでした。
興味を持とうと思っても、もてないものはもてないです。
いつも社会の授業にはついていけなくて、気持ちが重たくて苦しかったです。
でもこの社会の先生の授業は違いました。
先生は世界史の内容をまるでその場で見てきたように、どんな出来事が起きたかをストーリーとして語ってくださいました。
どうしてこんなことが起きたのか、それにはどんな意味があるのか、人々はどんな風に考えていたのか…
それはまるで一つの物語を見ているようでした。
私はそんな先生の授業が面白くて、しっかり覚えたくて、黒板に書かれた文字をノートに写した空きスペースに、簡単な絵を書いていました。
先生が語る物語を、一目で見てわかるように絵でかきとめていました。
でもその先生の授業をずっと受けられたわけではないので、本当に短い期間の話です。
その時は社会の授業が楽しく感じましたが、その先生以外の授業はやっぱりよく分からなかったし、結局今でも社会の勉強は苦手だなと思います。
その社会の先生とは普段もほとんど関わりはなかったですが、一度先生に話かけられたことがあります。
先生は生徒たちのノートを見られていたので、私のノートも見てくださっていて、「あなたのノート面白いね」と言ってくださいました。
多分ノートに絵を描いていたのは私くらいだったと思います。
もちろん落書きではなく真面目に勉強としてそのイラストを描いていたのですが、ノートに絵を描くなんて先生に怒られるかも、と私は少し思っていました。
でも先生は怒るでもなく、面白いと言ってくださって私はとても嬉しかったです。
でも私はそれ以上に恥ずかしくて、嬉しかったのにちゃんと先生と話すことができませんでした。
私は先生の授業が好きだったし、先生も私のノートを面白いと思ってくださって、あの時の社会の授業は楽しい時間でした。